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「隆行様。こちらにいらっしゃいましたか。」
初夏の風のように現れるのは、竹中半兵衛である。
屋敷の縁側で腕を組んで座っていた隆行は、
「うむ。」
と返事を返し半兵衛を見た。
「何かお変わりはありましたでしょうか?」
「いや。まだ無い。」
「そろそろかと感じておりましたが…。」
半兵衛は、隆行の隣に来ると、ふわりと腰を降ろした。
「ワシも同じ見立てじゃ。」
「それを聞いて安堵致しました。支度は出来ております。」
「ありがたい。」
そうして二人は無言のまま庭を見つめていたが、
「お寒いですな。」
そう言い残した半兵衛は縁側を離れていった。
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