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そう感じた隆行がふと隣を見ると、常に涼し気な様子の半兵衛が、珍しく眼を見開いて聞き入っていた。
半兵衛も、この宗運の異能に驚いているのであろう。
いや、それほどに卓越した眼力を備えなければ乗り越えられない苦難を、乗り越えた実績を慮って驚いているのかもしれない。
「…何の伝手も無く土居宗珊殿の元を訪ねた事にしても、事前に情報を集めた痕跡が無く、そのような冒険を犯す人物では断じてありませぬ。にも関わらず…」
宗運の言葉が多くなるに従い、二人の視線が隆行の方を向く。
確かに聞けば聞く程に矛盾だらけである。
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