異見の人相

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卓越した眼力や胆力、知識などを持つ宗運や半兵衛からしてみれば、隆行の発している矛盾は魑魅魍魎の類なのであろう。 「じゃが、悪意が無いのです。その矛盾に悪意が感じられませぬ。これには最早降伏する他ありませぬ。」 一通り言い終えたのか、宗運がすっきりしたような表情となった。 「阿蘇家の台所を預かる者としてあるまじき行為ではあるが、拙者が相を読めぬ実力者が相手では、主家を巻き込んで傘下に降る他、道はありませぬ。」 これは、異能を持つ苦労人の実力者であるからこそ出来る、重い即断なのであろう。 為政者の迷いは多くの弊害をもたらす。 そして、為政者の誤った決断も多くの弊害をもたらす。
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