異見の人相

16/19
17643人が本棚に入れています
本棚に追加
/1030ページ
為政者は迷わずに正しい決断を即断で降す事を求められるが、宗運の場合は、この相を見る能力を駆使しているのであろう。 「さて、これにて拙者は裸同然。つまり阿蘇家も裸同然ですじゃ。軍聖様。失礼ながら、後学のため、其方の秘密をお教え下され。矛盾の正体を。」 ここまでの話から、半兵衛も気になっているのであろう。 隆行の方を直視している。 隆行は肩の力を抜くと、 「偽りない御答えをしますが、荒唐無稽な回答となります。その点御承知置きを。」 「無論…。」 「拙者は未来から参った。」 宗運の指摘していた矛盾とは、隆行が己の歴史知識を信じて行動した事に集中していたのである。
/1030ページ

最初のコメントを投稿しよう!