擬態の外交

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結局、隆行は何が何か分からないまま、再び旅路についた。 半兵衛と宗運の他、護衛も連れた小集団である。 府内の町を出ると、徐々に人通りも減り、それに伴って大友家の監視も遠巻きになっていく。 すると、難しい顔で馬上に座る宗運が、隆行に馬を寄せた。 「笑いませんでしたな。」 大友家に聞こえない状態になり、初めの言葉がこれであった。 「笑わす気であったのですか。」 「当然じゃ。失態に焦る様子を楽しみにしておりましたが…まだまだ拙者の修行が足りなんだようです。」 「…。」
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