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そこは常連というほどではないが、慣れ親しんだコンビニであった。
しかしその日は、いつもと違う点が一つあった。
見覚えのない若者が店員としてレジの所に立っていた。
何がおかしいのだ、と思われることだろう。だがこれには理由があった。
というのもだ。これまで残業帰りに立ち寄る時は、顔見知りのオーナーが店に立っていることがほとんどだった。
オーナーは初老の男性で、毎回、挨拶程度の会話を交わすのが常だった。忙しい昼時ならバイトの子が入れ替わることも多いだろう。しかし、夜にオーナー以外の店員が立っていることは、男の覚えている限りはじめてのことだった。
「オーナーは? 今日は休み?」
男は財布を取り出しながら、疲れた顔をできるだけ明るくして話しかけた。
他所の店なら店員のことなど気にもとめないだろう。しかしこのコンビニは、オーナー夫婦が切り盛りしている。そのことを男は知っていた。
地元愛なんて大それたものではない。密かに二人を応援するつもりで利用していたのだ。
「体調でも崩したのかな? え?」
気さくに話しかけたにも関わらず、若者は返事をしなかった。
ぼんやりと虚空を見つめている。
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