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龍也はTシャツにスウェットの短パン。尚はここの浴衣を着ていた。
尚は歩きながら濡れた前髪を無造作にアメリカピンで留めた。おでこがひりひりするように熱を持つ。
――好き――
改めて言われたけれど、そんなの前から知っているし、出会った頃から何度も言われていた。
じゃあ、さっきの「好き」の意味は?
ぼんやりと洗濯機を操作する龍也の後ろ姿を見ながら、風呂場での龍也を思い返していた。
龍也の顎にキスをしてすぐ、同時に、尚のおでこにも龍也の唇が触れた。
ただ、それだけ。
それだけが、すごく恥ずかしくて、すごく背徳的な気分になった。
自分が思った以上に、尚はまだ子どもだった。
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