四 夕凪

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 ――だから、僕はタツが好きなんだ。僕の全部を受け入れてくれたから……  なら、なんで女になってあげる――という選択は怒るのだろう? 「ナオは簡単に女になれるって思っているのか」 「え?」 「女になるって親に言えるか? 将来、スカート履いてOLやって、女風呂に入って女子の更衣室で着替えて、女と同じトイレに行くんだぞ」 「……………む、り、かも」 「だぁ~ろーーーー?!」  龍也が顔を上げて、再び尚の方に向き合った。 「今までずっと男だったのによ、別に店長みたく、おねえでもないのに、なんで女になれるんだよ」 「そうだね」 「俺がどんなナオが好きとか、そんなこと気にするなよ。人がナオのことをどう言おうが、それに傷つかなくていいよ。悔しかったらさ、ナオは正直に怒ればいいし、不機嫌になればいいし、気にならなきゃ笑い飛ばせばいいよ。  俺は、それもぜーんぶひっくるめて、俺の尚だと思ってるからよ」 「じゃあ、僕の本心を言っていい? 怒らないでよ」 「ん?」  涙を拭って、勇気を出した。
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