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――だから、僕はタツが好きなんだ。僕の全部を受け入れてくれたから……
なら、なんで女になってあげる――という選択は怒るのだろう?
「ナオは簡単に女になれるって思っているのか」
「え?」
「女になるって親に言えるか? 将来、スカート履いてOLやって、女風呂に入って女子の更衣室で着替えて、女と同じトイレに行くんだぞ」
「……………む、り、かも」
「だぁ~ろーーーー?!」
龍也が顔を上げて、再び尚の方に向き合った。
「今までずっと男だったのによ、別に店長みたく、おねえでもないのに、なんで女になれるんだよ」
「そうだね」
「俺がどんなナオが好きとか、そんなこと気にするなよ。人がナオのことをどう言おうが、それに傷つかなくていいよ。悔しかったらさ、ナオは正直に怒ればいいし、不機嫌になればいいし、気にならなきゃ笑い飛ばせばいいよ。
俺は、それもぜーんぶひっくるめて、俺の尚だと思ってるからよ」
「じゃあ、僕の本心を言っていい? 怒らないでよ」
「ん?」
涙を拭って、勇気を出した。
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