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side海斗
◆◆◆
涙でぐしゃぐしゃの顔で、それでも懸命に笑って見せる顔に胸が酷く締め付けられた。
濡れた頬を拭うように顔中に唇を触れさせれば、擽ったそうに肩を竦める。
「………南……」
「んっ……」
唇を重ね、差し込んだ舌で上顎を、歯列の裏を丁寧になぞる。
南の口の中で最も敏感な所。
直ぐに呼吸は熱く浅くなって、喉の奥から甘い声が漏れる。
そう、何度繰り返してもキスだけで体を熱くして瞳を蕩けさせる南が、愛しくて堪らなかった。
口内への愛撫を繰り返しながら耳朶をそっと指でなぞり、首筋を辿ってそのまま浴衣を肌蹴させる。
ゆっくりと布団に押し倒しながら、帯を解き、顔の輪郭をなぞり鎖骨を辿って胸の先を指先で軽く摘む。
びくんと華奢な体が震えて、その両手が俺の腕に獅噛み付く。
南の感じる場所なんて、知り尽くしている。
この体に初めて触れて、開いたのは俺なのだから。
「ぁ、はっ……かい、……あっ、んんっ…」
耳朶を喰んでその中に舌を入れれば、紅く濡れた唇から甘い声が零れる。
何時だってその声に煽られて、もっとと求めてしまう。
もっと俺を感じて、もっと俺だけを求めて。
もっともっと、俺の為だけに啼いてくれと。
「ぁ、ゃ、あっ、海斗、海斗…っ」
俺の名前を繰り返し呼ぶ甘い声に、熱は益々煽られ体は疼いて自身は痛い程に張り詰めるけれど。
鎖骨の下を強く吸い上げて、薄っすらと色付いて硬くなった胸の尖りを口に含む。
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