本編291ページから

2/5
368人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
side海斗 ◆◆◆ 涙でぐしゃぐしゃの顔で、それでも懸命に笑って見せる顔に胸が酷く締め付けられた。 濡れた頬を拭うように顔中に唇を触れさせれば、擽ったそうに肩を竦める。 「………南……」 「んっ……」 唇を重ね、差し込んだ舌で上顎を、歯列の裏を丁寧になぞる。 南の口の中で最も敏感な所。 直ぐに呼吸は熱く浅くなって、喉の奥から甘い声が漏れる。 そう、何度繰り返してもキスだけで体を熱くして瞳を蕩けさせる南が、愛しくて堪らなかった。 口内への愛撫を繰り返しながら耳朶をそっと指でなぞり、首筋を辿ってそのまま浴衣を肌蹴させる。 ゆっくりと布団に押し倒しながら、帯を解き、顔の輪郭をなぞり鎖骨を辿って胸の先を指先で軽く摘む。 びくんと華奢な体が震えて、その両手が俺の腕に獅噛み付く。 南の感じる場所なんて、知り尽くしている。 この体に初めて触れて、開いたのは俺なのだから。 「ぁ、はっ……かい、……あっ、んんっ…」 耳朶を喰んでその中に舌を入れれば、紅く濡れた唇から甘い声が零れる。 何時だってその声に煽られて、もっとと求めてしまう。 もっと俺を感じて、もっと俺だけを求めて。 もっともっと、俺の為だけに啼いてくれと。 「ぁ、ゃ、あっ、海斗、海斗…っ」 俺の名前を繰り返し呼ぶ甘い声に、熱は益々煽られ体は疼いて自身は痛い程に張り詰めるけれど。 鎖骨の下を強く吸い上げて、薄っすらと色付いて硬くなった胸の尖りを口に含む。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!