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「ねぇ、お姉様。アリスはどうして不思議の国に迷い込んだの?」
「きっと好奇心旺盛なアリスは退屈な毎日に飽きてしまっていたのね。自分の知らない、見たことのない不思議な世界なら毎日が新鮮で楽しいでしょう?」
「でも帰ってきちゃったよ?元の世界に」
「それは退屈な毎日だとしても優しい両親がいて大好きな姉もいる。当たり前の幸せがある。そんな日常が恋しくなっちゃったのね。」
お姉様はそういってあたしの頭を撫でてくれた
「アリスも大きくなったら絵本のアリスみたいになっちゃうのかな?」
「あら、もうそんな心配?大丈夫よ。お父様とお母様が守ってくれるから心配いらないわ。もちろん私もいるしね。」
「ホント?」
「えぇ。そんなに心配なら今からお父様達のところに行って聞いてみる?」
「うん!お姉様早く早くー!」
「アリスったらそんなに急いで走ると転んでしまいますわよ?」
「そのときは大好きなお姉様に起こしてもらうからいーの!」
「あら、それは光栄ですこと。」
優しい記憶の中で見た幸せな夢
お父様とお母様とお姉様と会ったことはないけれど年の離れたお兄様がいる
なんの心配もいらなかった幼少期
だけどみんな一度にいなくなってしまったら
アリスは一体、どうしたらいいの?
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