第1章

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時間は只今午前9時50分。10時が待ち合わせの時間だ。おいおい…まさか、来ないのか? 『拓!お待たせ。玲香ちゃんはまだだよね。良かった。遅刻しなくて。』 「蓮司さん、来ないのかと思いましたよ。」 そこで、俺は凄い事に気づいた。独り言だよ…おいおい、マジか。いつも通り話せない。今更ながら当然の事に気づいて良かった。危ない人になるところだった。 『ちょっと、蓮司さん、聞こえる?』 『うん、聞こえるよ。いつもと変わらないよ。』 マジかよ…。普通に頭の中で思った事が伝わるのか…。 『蓮司さん。待った?』 玲香さんの登場だ。 『いや、僕もさっき来たところだよ。玲香ちゃん、今日は来てくれてありがとう。』 『くすっ。本当にデートみたいですね。』 『デートだよ。』 『俺もいますけどね。』 玲香さんは俺にも挨拶をすると辺りを見回して懐かしいと言った。蓮司さんも同じように懐かしいと、ここに来れて嬉しいと言った。 運ばれて来たパンケーキを見て、それぞれテンションが上がる。 3段に積まれたパンケーキの間には果物と生クリームが挟んであって、生クリームのデコレーションが凝っていて更にチョコレートもかかっている。パンケーキの回りにもスライスされたイチゴが綺麗に並べてあって、一瞬、お皿の模様かと思った。添えられたベリーソースは味の変化を楽しむ為かな、兎に角、美味しそうだ。
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