焼き餅焼くとも手は焼くな。

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ルールを守らない人は嫌い。 未成年なのに煙草を吸ったりお酒を飲んだり、公共のマナーを守らなかったり。 いい加減に女の子と付き合って、簡単に別れたり。 校則で決められているのに 髪を染めたり、ピアスをつけたり、わざと制服を着崩して格好をつけたり。 そういうの、馬鹿みたいだし、かっこ悪いと思ってた。 だから絶対、蒼さんみたいな人は好きにならないと思ってたのに。 『絶対、俺のこと好きって言わすから』 そう言って、少しずつ変わろうとする蒼さんに私は惹かれた。 もちろん、急に完璧に変われるわけはなくて。 禁煙したって言ってるのに、なぜか未だにライターを持ってるし。 『もしかして、今日吸いました?』 てかまをかけると、明らかに動揺する日もある。 虫の居所が悪いと、今日みたいに物に当たったり、吉澤君に凄んだりするし。 そんなところさえ、未だに塞がらないピアスの穴と同じように、愛おしく思えて仕方なかったのに。 ……女の子のことだけは、嫌。 過去のことだからって割り切れない。 だけど彼女でもない、ましてや生身の人間でもないわたしが文句を言う資格なんてないから、見て見ぬ振りで心に蓋をしてたのに。 無理矢理蓋をこじ開けて、言いたいことだけ言って、傷ついた顔で帰って行くなんて…… 「凛ちゃん、顔怖い。 なんか黒いオーラ出てる」 「凛ちゃん、男なんて単純な生き物なんですから。 過去はどうあれ、今1番好きなのはあなたよって言ってもらえれば それで満足なんですよ」 「……嫌です。 絶対、謝らない」 わたしの宣言に、男性陣は お手上げというように肩をすくめた。
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