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「何故しまう?」
「だって頭巾だよ? ティアラとかにしようよ!」
「馬鹿言うな! 我々狼と赤頭巾は切っても切れない縁だからな」
「そうなの?」
「あぁ、初代赤頭巾は我ら狼と猟銃一丁でやりあって大多数を滅ぼした。それがお前の祖母だ。それから私と赤頭巾は不戦条約を結び運び屋業を始めた」
運び屋関係ないじゃんとヒルダは思ったが、祖母の事は良く知っていた。
数年前に亡くなったと聞いたが、悪ガキのような面白く可愛い祖母だった。銃の使い方も祖母に教わりヒルダに優しくしてくれた祖母。
「リゲルは」
「先生と呼べ」
「はいはい、リゲル先生はおばあちゃん知ってるの?」
そう聞くと耳がピンと張ったリゲル。
「あぁ、良いパートナーだった。さっさとくたばりやがって……人間は短命だから好かん」
遠い眼をするリゲルは懐かしそうで誇らしそうな表情をヒルダに向ける。
「だからお前をアイツと同じように、おい!」
ヒルダは制服の入った箱を枕にイビキをかいていた。ヒルダの頭をゴツンと叩く。
「あたっ! 何すんのさ!」
「貴様それでもアリスの孫か! なんたる怠慢。聞きしに勝るクズだな」
「別にいーもん。家にパラサイトして資産食いつぶして生きていくもん」
リゲルは小さな皮袋をヒルダの前に落とす。
それを拾って中を見ると銅貨が三十枚入っていた。そこそこの大金。普通に生活すれば二か月は食べていけるような金額。
「なにこれお小遣い?」
「あとこれもだ」
一枚の封筒をヒルダに差し出す。
「手紙? お母さんからだ。えーなになに? ヒルダへ、そのお金でヒルダは独り立ちなさい。リゲル先生の言う事を聞いて頑張ってね。もし家に戻ってきた時はお母さんヒルダを蜂の巣にしちゃうから覚悟してね……ちょ、まってよ。リゲル先生、私の頬つねって」
ハァとため息をつくとリゲルは言った。
「私の手でつねれると本当に思うか?」
「じゃあ、さっきみたいに叩いて」
ゴンとリゲルはヒルダの頭を叩く。
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