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「あたっ! やっぱり痛いか、家帰ったらお母さんがマシンガンで襲ってくるだろうし、リゲル先生、私どうしたらいいかな?」
「その為の私だ。まずは制服に着替えろ」
箱を開けてヒルダは制服とにらめっこをすると、少し考えて制服に袖を通した。
「お城のメイドさんだと思えばいいか」
「コラ! 頭巾を被れ」
後ろ手に隠している頭巾を指摘されてヒルダは頭巾を頭につけようとする。
「うぅ、やっぱり嫌だぁ!」
「被れ!」
「こんなの被ったらお嫁にいけないよぉ」
「安心しろ。お前みたいな怠惰な女なんかもらってくれる男はいない」
「あぁ! 今の酷いよリゲル先生」
「五月蠅いわ! つべこべ言わずに被れ」
バリっ!
頭巾が真っ二つに破れる。
「おまっ、なんて事を!」
「リゲル先生が無理やりするから悪いんじゃんかぁ!」
敗れた布きれになったそれを見てリゲルは奥から小さな箱を持ってきた。それは裁縫箱。
無言でそれをヒルダに押し付ける。
「何?」
「縫え!」
「お裁縫なんてした事ないよー」
「……私が教えてやるから早くしろ」
ブツブツ文句を言い、指を怪我しながらヒルダはチクチクと頭巾を縫う。不器用な手つきだったが何とかそれは完成した。
「お前」
「ヒルダだよ」
「あぁ悪い。ヒルダ、一ついいかな?」
「何先生?」
ヒルダが縫った物を見てリゲルは言った。
「どうして頭巾縫い合わせてるだけなのに布が小さくなってるんだ?」
ヒルダが縫った頭巾は細長い布きれと化していた。
「まぁいいじゃない。あの頭巾を私が被る事はないのが宿命だったのさ」
「それでもいいから被れ!」
「えぇ、嫌だよ」
「いいから」
ヒルダは細長い布きれをみて閃いた。
ヒルダは自分の髪の毛を櫛でとかすと布きれをリボンのように括った。手鏡を見てうなづく。
「いいじゃんこれ! ねぇ先生似合う?」
「もうそれでいい。次は看板を作るぞ!」
「看板?」
ヒルダは今更ながら自分が家ではなく何処か違う部屋にいる事を知った。外に出るとそれが小さな小屋である事、また見知らぬ土地である事を知った。
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