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「それも運び屋の仕事じゃないんだけどな」
「リゲル先生は少し堅いんだよ! 王都でウチの店の宣伝も出来るかもじゃんか! ミリアちゃんどうかな?」
「そ、それなら私も一緒に行っていいですか? 都の流行とか見てみたいですし」
「よし、みんなで行こう! いっその事パン屋さんを配達しよう」
準備をして村の入り口で落ち合う手はずとなっている。
「先生、ミリアちゃんを王都まで連れて行く。これは宅配便の仕事かな?」
「荷馬車の仕事だな」
「じゃあパン屋さんをそっくりそのまま届けるなら」
「グレーな所だな。まぁ及第点だろう」
冷めた口調でそう言うリゲルとそれ以上話しが続かずにミリアを待った。
ミリアは少しすると大きな風呂敷を担いでゆっくりと歩いてくる。
「お待たせしました」
「それ全部パン?」
「はい、自信のある物を厳選してみました」
「ミリアちゃんのパンなら全部即完売だよ! じゃあ先生、王都までお願いしまーす!」
「あぁ? なんで私が馬車の代わりをしないと行けないんだ?」
「えぇ、この前乗せてくれたじゃん」
数日前に突然初仕事が入った時の事をヒルダは言っているのだが、リゲルは反論する。
「言っただろうが! あの時は特別だ! 私は乗り物じゃなくてお前の指導員なんだからな!」
「先生が乗してくれないと馬車代かかるじゃんかぁ」
口を尖らしてそう言うヒルダにリゲルは落ち着いて言う。
「私がいなくなったらお前は足を手に入れるか契約する必要があるんだぞ? それを考えて今どうするか考えてみろ」
「ごめん、ミリアちゃん、先生が超ケチで乗せてくれないよ。王都行きは諦めて」
「なっ、お前っ……」
少し悲しそうな表情を見せるとミリアは頷いた。
「分かりました。こちらこそ、無理させちゃってごめんなさい。リゲルさんも疲れますもんね」
グルルルルと喉を鳴らしてリゲルは叫んだ。
「こ、今回だけだからなっ!」
ヒルダはリゲルに分からないように親指を立てた。
ヒルダは体勢を低くしたリゲルに乗ると、ミリアに手を伸ばした。
「ミリアちゃん乗って乗って」
「私を自分の馬みたいに使うな!」
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