デッド ライン dead line

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ぼんやりと、思い出す。 あの日の出来事を。 変な、そう。 ホントにおかしな女に出会ったんだ。 頭がおかしい、変なやつ。 言ってることがホントにおかしくて、 やることも全部、マジ、 普通じゃなかった。 それは、1学期が終わる頃の事だ。 いや、そもそも彼女は 何だったのか。 誰も、この場所は知らない。 でも、僕は何度も来ている。 立入禁止の看板をくぐり、覆い茂る緑の壁を押し分けながら、 道の無い方へと登って行く。 「はぁっはぁっ。」 ろくに運動をしてこなかったからかな。 すぐに息が切れる。 ちらりと腕時計に視線を落とし、 きっと上を向いて歩を早める。 ザザンッ。 荒い波が音が近づいてきた。 もう少し。 最後の草を掻き分けると、景色は一面真っ青な空に変わり、 立入禁止の意味を知る。 100メートルはあるだろうか、 僕は、この断崖絶壁の上に、 何度も来ている。 そそりたつ岩肌に容赦なく打ち付ける荒波。 そうだなぁ、ここから落ちたら、絶対助からない。 死体すら渦に呑まれて上がらないだろう。
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