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まさか。
こんな現実的世の中に狼だなんて。
確かに狼が人間になったり狼が人間になったり、でもそれは全部で映画の中だけの話で。
「あの娘の治癒能力の高さは遼太郎、おまえが一番わかってるはずだ。手足が折れた人間が一晩で治るものか」
「………」
「まあいい。俺からの話はそれだけだ」
「待て、あいつはどうする?」
立ち上がる奏を引き留め隣の部屋で成田と話をしてる雛を見る。
「…遼太郎、おまえにあの娘は見捨てられない」
奏が振り向いた。
「まるで昔の自分を見てるようだろ?遼太郎には見捨てられない」
どうしてそう言い切れる?
俺はただの族だ。
もしかしたら、このガキに手を出すかもしれないぜ?
「やれるものならやってみな。その時はそれだけの男だったってな。だが、俺の目には狂いはないと思ってる」
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