『蒼銀の恋』

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族。 走りは好きだが、つるむのは好きじゃない。 仲間。 それは族の中にはない。 「待って…遼太郎さんを送ってくれたのにお礼言ってないから」 「あ゛?」 雛が立ち止まって後ろを振り返り、「ありがとう」と、言うと残されたふたりは口をあんぐり開けて吸いかけたタバコを落とした。 屋敷に入ると雛がもじもじしてホールから足が進まない。 「どうした?入らないのか?」 「すごい大きなお屋敷でびっくりして…遼太郎さんの家族は?」 「そんなものいない。ああ。腹違いの弟がひとり」 出迎えはいない。 家政婦が来て一通り掃除をしていくと戻ってく。 「そうなの?両親亡くなったの…」 「勘違いすんなよ、死んでるわけじゃねえよ。ここにはいないってだけだ。外国行ってる。勝手に死なせるな」 調子が狂う。 天然ってなんなんだ。
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