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「誰もいない。入れよ」
「うん」
本当に広い屋敷だ。
ただ寒々しい。
歩くのもまだ脇腹の傷が痛む。
「おまえの部屋は奥の部屋でいいな?」
「……奥?」
「どうせ誰もいない家だ。奥の部屋はどれを使ってもいい。好きな部屋を使え」
東側の部屋は5つ。
「俺の部屋は離れにある」
廊下向かいを指すと雛が眉を下げた。
「どうした?」
「…なんでもない」
好きなように居ればいいと雛を母屋に置いて離れの自分の部屋に入ると横になった。
痛み止めはすぐ効いて眠くなる。
ベッドに横になった瞬間に記憶はなくなった―――
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