『蒼銀の恋』

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銃声で耳のいい狼たちは退かざる。 硝煙の臭いが立ち込め後ろへと下がった。 「勝手に連れ帰られても困る。その娘に帰る意思があるのなら別だが」 奏はまっすぐに銃口を向ける。 「これは銀で出来てる弾だ。その意味はわかるな?」 「………」 「その娘を渡すわけにはいかない」 銀と名乗る男は腕に眠る雛を見下ろした。 そばにある寝台にそっと下ろして銀の瞳を冷たく燃やして俺を見た。 「……今は、引いておく。だが」 今度来る時には必ず連れ帰る。 銀の瞳。 狼たちを従えた男。 唸り声を上げて威嚇する狼たちの中をひとり背を向け歩き出す。 牙を剥いたまま狼たちが一歩下がる。 縁側から庭に降りた銀は月の光を仰いだ。 みるみるうちに月のひかりに体が滲んでく。 白いシャツ姿の男が蒼銀の狼の姿へと変わってく。 引き連れた狼たちよりも遥かに大きく風に豊かに流れる毛。 蒼銀の狼―――
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