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大神組若頭、大神奏。
族で走り専門の俺に声を掛けてきた男。
「いい面になってきたじゃねぇか。そろそろ族を抜けて俺のとこに来ないか?」
「は?なに冗談言って―――」
「冗談なんかじゃない。俺がおまえに可能性を見出だしてるんだ。俺のとこに来ないか?おまえになら任せてもいい」
真剣な目。
大神組と言えば極道の道、日本で5本の指に入る。(株)大神物産は表の会社。
知らない者などいない。
「俺はただの走り屋だ、奏の眼鏡に敵うわけが」
「俺の目に狂いなどない、遼太郎」
狂いまくりだろう?
どう考えたって。
俺は仲間を仲間とも思えないひどい男だ。
「逃げるな、遼太郎。おまえの中にあるものとちゃんと対峙しろ。答えはちゃんとおまえの中にある」
奏の目は強い。
引き摺られそうなほど真剣な光。
「もうこのままいられないってことをわかれ」
ポンと、肩に手を置いて奏が通りすぎた。
わかってるさ。
もう答えはでてる。
今がその時だってことぐらい―――
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