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眠ってても俺の服を掴んだまま離れない。
「…守ってやる。約束したろ」
不安なんだろう。記憶がない今、何一つわからないことが。
そっと頭を撫でてやると力が抜けた。
「バカだな、おまえは」
狼だろうが人間だろうが構わない。俺はありのままの雛を受け止めてやる。
だから―――眠れ
芽生えたのは信頼。そして、決めた。
族を卒業して、大神奏の元へ行く。
「おまえのおかげだ、雛……」
逃げないと決めた。
生きる道は自分で切り開いて歩いてく。
雛の寝顔が柔らかく笑ったような、そんな気がした―――
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