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走り専門の族。
以前はそうだった。
走りたい奴らが集まってバイクの話で盛り上がってた。
だが、今は違う。
族同士のケンカに明け暮れて、この間は脇腹を刺された。
俺が死んだと思って、同じ族は俺を見捨て、相手の族は俺を脇道に蹴り飛ばし笑いながら去って行った。
生きてると知った族は、
今日、俺が生きて目の前に現れたことで顔をひきつらせていた。
「今日限りで族を卒業する」
便所座りしていた下っ端の奴らが立ち上がる。
「遼太郎さん、族を卒業って今の嘘っすよね?」
「冗談……っ!」
「ふ、ふざけんなよ、言っていい冗談、」
みんなの顔色が変わってく。
「見捨てて逃げたことなら謝ります、俺ら殺されたくなくて」
「助かったんだからいいじゃねえか、何怖じ気づいたんだよ?」
そうじゃねえ。
もう族自体に興味がないんだ。
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