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くそっ……痛てぇな。
鈍い痛みで目が覚め、周りを見回すとここがどこだかわかった。
成田医院だ。
意識朦朧として、ここにたどり着いたらしい。
「やっと起きたか、バカが」
成田が呆れた顔で俺の顔を覗き込む。
裸に包帯を巻いたその脇腹を指差して、傷口が塞がるまでおとなしくしてろよと告げた。
「……なあ、痛み止めは射ってくれねえの?」
「無茶するおまえに使う痛み止めなんてねぇよ」
「冷てぇな、患者に優しくねぇヤブ医者め」
「そのヤブ医者を頼って家の前で倒れてたのはどこのどいつだろうな?まったく!」
ぐちぐち文句を言いながらも助けてくれるのはなぜなのか。
どんなことがあっても助けると叫ぶ成田を頼るのはなぜなのか。
お互い、顔を見合わせた。
「おまえ、…あの娘をどこで拾ってきたんだ?」
成田の言ってることがまるでわからない。
首を傾げると、
「ほら、あの娘だよ」
―――は?
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