『蒼銀の恋』

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違う道を見つけた。 本当にやりたいこと、ついて行きたい男を見つけたんだ。 真っ直ぐに族の頭のところへ歩いてく。 廃工場の階段を昇り、扉を開けると革張りのソファーに友だった男が座ってた。 タバコもどきの芥子の葉を巻いたものを燻らせていた。 いつからこんなだらしない族に成り下がったのか。 「抜けるってことは―――わかってんだろうな?遼太郎?」 「……違う、抜けるんじゃなくて卒業だ」 目を虚ろにしたヤツはもう昔の男じゃない。 何もかもに未練はない。 「抜けるのは私刑ってわかってるよな?」 「俺はおまえたちのことを何もいうつもりもない。卒業して普通に暮らしたいだけだ」 「………」 「黙って見送ってほしい。そう思ったからここに来たんだ」 否定はしない。 ただ見つけたんだ。俺は大神組についてく。 「……大神組若頭か?」 「ああ、これから行く」
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