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雛を許嫁だと言った男、銀の雛を見る目。
本気だった。
「…―――なんでもない」
何を言おうとした?
雛が銀をどう思っててもどうでもいいことだ。
本当に雛が銀の身内なら帰さなければならない。
今はその証がないだけ。
保護者へ帰す。それが俺の役目。
「……遼太郎?」
雛が戸惑い目を上げた。
わからない。
同情で拾ったガキだった。
得体が知れないとわかっても突き放せなかった。
ただそれだけのガキ。
「悪い知らせだ。遼太郎」
苦虫を噛み潰したような表情をした奏が扉を開けて入ってきた。
「調べさせていた雛の身元がわかった」
衝撃の一言だった―――
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