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真由―――雛の本当の名前。
「そして、俺も」
銀が笑う。
「以前は自分自身を疑いもしたが今はわかってる。思い通りに体が動くんだからな」
「……雛は」
「知らないし知らせてない。知らなくていいと思ってる。真由を守っていくのは俺だ。今までもそしてこれからも」
銀はそうして雛を見守り続けてきたと知った。
「純血の狼、おまえには無理だ。おまえには血を繋げない」
「そんなもん」
「狼でも?生まれる子が狼だとしても?」
「!?」
「現実は甘くない。受け入れられはしない。わかったら真由を手離せ。真由の居場所はここにある。俺の元に。俺が保護者だ」
何も言い返せない。
保護者、それだけじゃないとわかってる。
「記憶がなくても俺には真由が帰ってくるだけでいい」
ふたりは両想いだったんだろうか?
考えながら奏の屋敷へ雛を迎えに行くと涙目で胸に飛び込んできた。
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