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大学教授の銀と、族あがりの俺。
違いすぎる。
「わたし…ひっく」
大粒の涙。
しがみつく震える手。
「遼太郎が…いないところに行きたくない……」
「雛」
「今までの記憶なんか戻らなくていい。戻ったら、遼太郎のことを忘れることもあるって大神さんが言ってた。…わたし遼太郎のこと忘れたくない」
一時的に記憶を忘れてしまう。
ストレスやショックいろんな原因があるが、数日で戻ることもあれば忘れたままのこともあると聞いた。
中には記憶が戻った瞬間に記憶をなくしていた間のことをすべて忘れてしまうこともある。
「…遼太郎を忘れてしまうくらいなら記憶なんて戻らなくていい」
何か胸につっかえた。
雛を帰すと決めたはずなのに雛が帰りたくないと泣くと苦しくなる。
迷った末に帰すと決めた。
今は記憶がないが、きっと家に帰れば思い出すだろう。
俺を慕ってくれたことは思い出に変わると思ってた。
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