312人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
目の前の女を見る。
青みがかった瞳がじっと俺を見ていた。
「俺にどうしろと?」
「遼太郎が連れて帰ればいいだろ。わかってるだろうが、この子には手は出すなよ」
「出すかよ、まだガキだろう?っていうか、こいつ人間じゃないだろう?」
「たぶんな」
瞳の奥で青い光が瞬いている。
「チッ、わかったよ。だが預かるのはしばらくの間だけだ。奏に話して早くこいつの身元を探しだして引き渡す」
厄介事なんて冗談じゃねぇ。
俺は好きなように生きてく。
仲間とツルんで楽しけりゃそれでいい。
女には不自由してねぇ、抱きたい時には口説き文句ひとつでどんな女だって抱ける。
「奏に会いたい。話つけてくれるか?」
「待ってな。返事は明日する。とりあえず今日はまだ寝てろ。傷は浅いが動けば縫ったところが開く」
「わかった」
おとなしくベッドの背もたれにもたれる。
少し離れたところにはカーテンに隠れきれずに佇む娘、歳は16、17歳だろうか。
最初のコメントを投稿しよう!