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「おい、おまえ本当に記憶がないのか?警察に突き出されたくないなら本当のことを教えろ」
青みがかった目は人間じゃない。
昨夜は本当にボロボロだった。
一晩で折れた手足が元通りになるなんてバンパイアか魔物に違いない。
「あの、…お礼が言いたくて」
「は?」
「どうして倒れてたのかわたしが何者なのかわからないけど、でも、助けてくれて…嬉しかったから。それにその…傷…気になって」
心配してくれるガキに毒気が一気に抜けた。
見た目もガキだが、声も仕草も普通の高校生のガキにしか思えない。
「おまえの身元はすぐにわかるだろう。それまでなら家に置いてやってもいい」
「…いいの?」
「胸も出てねえ経験もねえようなガキに興味はねえよ。身元がわかったら親に引き渡すだけだ」
「あ、ありがとう、えっと」
俺の名前。
「俺の名は遼太郎。他にも名前があるがおまえはこっちでいい」
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