『蒼銀の恋』

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――――――――――― ―――――――― ――――― 「はぁ?あいつの身元がわからない?」 「ああ、あの瞳は珍しいからな。すぐに身元が割れるもんだと思ってたが全くの手掛かりなしだ」 まさか、大神組の力を使ってもわからないなんて。 「遼太郎の言ってた場所に何かが車に轢かれた形跡はあった。轢いた数台は把握出来たがその前に道に横たわってたらしい。雨に流されて証拠らしいものも皆無だ。それに―――」 大神組若頭、奏が本気な顔で腕を組んだ。 「成田の話ではあの娘にはケモノに噛みつかれた痕が多数あったそうだ。もしかしたら」 「もしかしたら?」 「あの娘は―――狼」 狼?あの娘が? 車イスに座り身を乗り出す。 「まさか」 「あの娘が倒れてた場所には血のついた狼の毛が散らばってた。犬とは全く違い毛の先が分かれている。犬じゃない、狼だ」
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