夜中の電話BOX

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夜中の電話BOX

毎日 毎日 終電間際に電車に飛び乗り 誰もいない夜道を 一人帰る男がいた。 男は疲れ果て 気晴らしにと その夜は 普段通らない道を歩いた 線路沿い 街頭だけの薄暗い道 通りには 小さな公園がある 入り口には 電話ボックスがあって その場所だけ やたらに明るい 奥に広がる公園は その逆で暗くて全く見えない 男は 電話ボックスの横を通った リリリリン 不意に電話ボックスの電話から 呼び出し音が鳴った 男はビクリと驚き 立ち止まった リリリリン 男は電話ボックスのドアを開け 中に入った そして 恐る恐る電話の受話器を取る 男が受話器に耳に当てると ノイズだけが聞こえ その音は かなり耳障りであった 受話器から耳を離そうとすると 電話の向こうから 微かに声が聞こえた すみません……すみません…… 男の声だった 「あんた、誰だ?」 男が尋ねたが 返って来る言葉は 「すみません……すみません……」 「謝ってないで、お前は誰だって聞いてるんだ」 「すみません……。すみません……」 男は気味の悪さに 電話を切ろうとした すると、電話の向こうから別の声が聞こえて来た その声は小さく よく聞き取れないが どうやら 怒っているようだ 「すみません……。すみません……」     
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