フラワースノウ

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
また今年も 君の匂いの季節がやって来た 気づけば君の微熱を探してる 宙で揺れる手を ポケットに隠した 「今日も寒いね」と言いながら歩いた通学路 雪より白い頬が薄紅色に染まった横顔 なんとなく お互いに ずっと一緒にいるような気がしていた もう一度 あの日に戻れるのなら 君の名前を呼ぼう 白い花が雨に溶けてしまっても 君から僕が消えてしまっても 君の名前を呼ぶよ ただ側にいられれば それで良かったんだ 想い出だけが頭を巡って 強く抱いて温めてる いつまでも いつまでも この想いでいることが…… 僕のせい 「色褪せないものはない」と 教えてくれた君が 悲しく笑って 冷たく泣いた風は 僕達を引き裂いて 「もう戻れない」と告げて去った もう二度と戻れないと 分かっているけど 君がくれた 雪の記憶 白に染めてゆく 最後に言いたかった 繰り返す 「好きだった」と 冷たい夜風に言うよ 忘れたい 忘れられない かじかんだ手が覚えてる 滲んだ視界が 白い花を映した ふわりと揺れる花 キャンバスを白に濡らしていく 幻でもいい  重ねて落ちた花が そっと僕に触れた
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!