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4.ほくほく線 超快速スノーラビット
9時14分、越後湯沢駅を離れた電車は、立ち席も出る盛況ぶりだ。武史は相変わらず不安そうな顔をしている。
電車は石打、大沢、上越国際スキー場前、塩沢と、上越線の駅を次々に通過。
私は、疑いの目を見せる武史に気合いを入れ直す。
「直江津に着いたら絶対告白するのよ」
「……」
「ちゃんと返事!」
「は、はい! でも……」
9時29分、六日町駅に停車。ここから北越急行ほくほく線に入ると速度を上げ、時速110キロに達した。とても山の中のローカル線とは思えない。
魚沼丘陵、美佐島、しんざを通過。速さを感じてか、先回りに半信半疑だった武史が口を開いた。
「全然止まらないですね、特急みたい」
「そうよ。すごいでしょ。越後湯沢から直江津まで、わずか1時間よ」
「すごく早いんですね」
頃合いと見て、ちょっとしたウンチクを披露することにした。
「そうね。美菜子の2分前に着くはずよ」
「そうだったんですね」
「うん。そしてね、この電車を選んだのにもちゃんと意味があるのよ」
しんざを通過して、十日町駅に9時40分に停車、すぐに発車。停車時間も惜しいと言った感じだ。私は話を続ける。
「北越急行はね、北陸新幹線が出来てから、収入の9割を占めていた特急が無くなっちゃったの。それまでの貯金で30年間は営業を続ける予定だけど、簡単に廃止にはしないつもり」
「それで、この電車ですか?」
「そう。本数は少ないけど、東京から直江津までなら北陸新幹線に乗るのと時間がほとんど変わらない電車を走らせて、少しでもお金を稼いでるの」
武史はうなづいて聞いている。私は最後の種明かしをする。
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