パラリンピック予選大会。

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パラリンピック予選大会。

「出場って……まだ選ばれるか分からないだろ? 気が早過ぎだ」 「ご謙遜を……日向さんなら選ばれるのは、 当然ですよ。僕も選ばれるように頑張らないと。 お互いにいい結果を出しましょう」 フフッと笑うとその男性は、手を差し出してきた。 課長もその手を握り返した。 「あぁ、そうだな」 「ところで……隣に居る方は、誰ですか? 若い……女性の声がしましたが。彼女さん?」 するとその男性は、私に気づいていた。 えっ……いつ私が居るって気づいたのだろう? 話しているところを聞いていたのかしら? 私は、驚いていると課長は、 「あぁ、俺の婚約者の結衣だ」と言って紹介してくれた。 課長が婚約者として紹介してくれるのは、 何だか照れくさい。 「あぁ、そうなんですか。日向さんもやるなぁ……。 はじめまして。僕は、松岡桃吾(まつおかとうご)です」 松岡さんという男性は、そう言うと 手を私にも差し出してきた。 見えないから探るような感じで……。 「あ、私は、二階堂結衣です! よろしくお願いします」 私は、慌ててその手を握り返した。 すると松岡さんは、手を握った状態で 「あぁ、優しくて温かい手をしている。 声も若いから……20代前半ってところかな? きっと優しくて素敵な方なんでしょうね。 日向さんは、怒りっぽいから色々と 大変ではないですか? 嫌になったら、いつでも僕のところに来て下さい。 歓迎しますよ」 えっ……? 握って声を聞いただけで年齢を言い当てられたのも 驚いたが松岡さんの言葉にも驚いた。 「松岡……人の彼女を勝手に口説くな」
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