13人が本棚に入れています
本棚に追加
私、柏木アイが10歳になった時。
母の弟、私にとってはおじさんが設計してくれて家が建てられた。
その隣の家に大学生となった、18歳の廣瀬健人が住んでいた。
驚くことに、私の母と健人の父は同級生だった。
そんなこともあって、私は小学校まで通り道だからと健人に送られたりと…
家族ぐるみの付き合いをしていた。
私の父も健人ママも、二人の仲を疑うほど仲が良かったが…
それはその時が訪れるまでは、本当にただの同級生だった。
ある日の夜。
私は高校受験を控え、
健人は教員試験が控えていて互いに図書館へ一緒に行ったりして勉強していた。
そんな大事な時期だからこそ、互いの両親もピリピリ緊張していたのか?
今となっては聞くこともできないが、大きなけんかとなっていた。
聞くにも耐えられず、私はファミレスに健人を誘っていくと嘘を言って家を出た。
「はあ…確かに健人パパはうちのパパより優しいしね、爽やかだしイメージ違うよね。」
「おい。」
「きゃ!」
「俺だよ…。」
振り返ると、健人が立っていた。
「はあ?もう、変な人かと思った。」
「それは、お前だろ?」
私が道に迷いそうになると、健人はいつも私を導いてくれていた。
「大きな声で、一人で話してる奴が…人を変質者呼ばわりとは。」
「採用試験もうすぐなんでしょ?」
「…お前もだろ、どこ行くんだよ。彼氏でもできたか?」
「はあ?」
健人の足元を見ると、サンダルがチクハグだった。
最初のコメントを投稿しよう!