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「わかった…。」
健人は大きな声で、そういうと自分を見つめさせた。
「健人?」
「アイは…俺にとってとても大事で愛する人には変わりない。」
「…健人、私ね!」
「いいから最後まで聞け、な。」
変わらないその笑顔が、いつもモヤモヤしている私の心を晴らしてくれていた。
「うん。」
「アイと出会った時、可愛い妹が出来たって思ってたんだ…それから、アイは俺の好きな人になって、それから俺はお前に愛されたい男とお前を守る力を持つ男になるために努力をしてきた。だけど、妹に降格してやる。」
「え?」
「あ、だけど…大事で愛する人には変わりないから。でも、妹な。」
「フッ…なに?」
「俺がお前の事を妹だって、扱えばアイは気が楽だろ?」
「扱えばって…私はモノ?」
「面倒な奴だな。」
「そうだね、自覚ある。」
「…面倒な奴を扱えるのは、俺だけだと思うけど?」
健人は得意げに、ニヤリと笑って見せた。
「そうだと思います。」
「どうだ?気が楽になったか?ここにいる意味もできたろ?俺の、妹だからな。」
「…フッ、ありがとう。」
「勉強に専念しろ、テスト近いだろ?と言って、どこが出るとか教えないけどな。」
「ケチ。」
「面倒な妹と老いぼれていくジジ面倒見なきゃいけないからな。」
「酷いお兄様だこと。」
「フッ、お兄様って…。」
目の前にある健人の笑顔を見ていたら、心の中にあった真っ黒くて重い石が消えてた。
「飯…いっそ俺らも食いに行くか?」
「ううん、誰かに見られると面倒だから…作ります。」
「じゃーお願いします、手伝おうか?」
「それじゃ…。」
健人とこうして居てもいいんだよね?
「鍋の湯わいてるんじゃないか?」
「え?ああ!ほんとだ!」
「おいおい。」
この今の、この時間を…大事にしたい。
私はパパやママとは、違うことはわかってる。
…だけど、二人の娘だもの。
目の前にいる彼を愛しすぎて、彼を困らせてしまわないか怖い。
彼を思えば思うほど、光を見失ってしまう。
けど…彼が私を導いてくれる。
私が素直に健人を愛してると言えるまで…彼の妹として愛してもらう。
ずるいけど…。
彼が私といることを望んでくれてるから…。
私が彼といることを望んでいるから…。
また迷うかもしれない、
でも、きっとそれが人を愛する事なんだよね?
「アイ?お前…また考え込んでるだろ?」
彼は超能力でも持ってるかのように、いつも私の心を言い当てる。
「いいえ。」
「そうか?それ持ってるの砂糖だけど…大丈夫か?」
「危ない!セーフ!」
「おいおい、どんなもん食わされるんだよ。」
「フフッ。」
「今、笑ってごまかしたな!」
「フフッ。」
私の愛する人は…。
終
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