13人が本棚に入れています
本棚に追加
病院に着くと、私たちはすぐに霊安室に通された。
その前に、私のママと、健人のお父さんが黙って座っていた。
「健人…アイちゃん、ごめん、本当にすまない。」
私達を健人のお父さんが見て、一度は顔を上げ立ち上がろうとしたもののまた頭を下げよろけるように座りなおしていた。
「ママ?」
「…健人君、ごめんなさい。」
「なに?二人とも誤ってばかりで…説明してくれるんだよね?なんで?どうしてここにいるの?」
健人は一度私を見て、口を開きかけたものの唇をかみしめていた。
「知らないのは私だけ?なに?どうして、こんな悲しいところにみんなでいるの?ね?」
隣に立っていた健人の腕をつかんで、私を見つめさせたけど…すぐにそらされた。
「ね!帰ろう…なんでここにいるの?うちに帰ろうって、健人パパも。」
「…アイ、あなたのお父さんその扉の向こうで眠ってるの。」
「え?何言ってるの?」
ママは立ち上がり、私の目をしっかり見つめ…。
「彼、あなたのパパね!浮気してたの…お前と同じことをしてるんだって、私を怒鳴りつけるだけ怒鳴りつけて。」
ママはボロボロ涙をこぼし、倒れこむように椅子に腰を下ろして健人のパパに支えれていた。
「アイちゃん…悪いのはおじさんなんだ、おじさんが。」
「うん。そうだな。」
健人が冷たく言い放つと、見たこともない冷たい表情を見せそっと私の手をつかんだ。
「アイ、親父さんと母さんに会いに行こう…俺がついてるから。」
健人にそう言われ、私は彼の手を握り返した。
最初のコメントを投稿しよう!