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「アイ…口をきいてくれないのね。」
「なに?隣の二人にご飯届けてたの…ママが行きたかった?」
「アイ!」
「そうね、ママ…作るの苦手だもんね。」
「…パパ、ずっと寂しかったんだと思う。ママ嘘下手くそだもんね…健人パパの事好きなんでしょ?」
「…。」
「ずるい…大人って、都合悪くなると返事しなくなる。子供には返事しなさいとか言うくせに。」
ママはそっと、パパの遺影を伏せた。
「ええ、ずっと好きだった…だけど、ママも彼も誤解やすれ違いで一緒にいられなかった。」
「それで?パパも死んだし?一緒居られる?よかったね。」
「アイ!」
「ママが、パパも健人ママも殺したんだよ!」
「…私、私じゃないわ!私が悪いんじゃない!二人が勝手に車で出て行って…二人は勝手に亡くなったのよ!」
ママは自分の髪をつかみ、引っ張ったりして体を丸くうずくまった。
「かってよ…かってに怒って、私を置いていくんだもの。」
体を起こしたママは、伏せていたパパの遺影をつかみ抱きしめていた。
「かってなのは、どっちよ。悲劇のヒロインみたいに演じるのはやめてよ!」
「…アイ?」
「パパを返して、健人にお母さんを返してよ!ママのせい!」
酷いことを言ってるって自覚はあった。
それに、時々パパもママに冷たいって感じていたこともあった。
ママのせいじゃないってことぐらい、わかってたけど…。
「そうね…私が。」
「そうだよ、パパにちゃんと誤ってよ!」
私はママに言い放った後に、自分の部屋に戻った。
二人の喧嘩を…
パパとママの酷く醜い口論をもう聞かないで済むっと一瞬でも思ってしまった自分が怖かった。
そんな自分が許せなくて、どうしていいのかわからなくて…
ママに当たってしまった。
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