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ニコマーから足が遠のいてから、あそこでお姉さんの笑顔を見れなくなってから、どれくらい経っただろうか。
大人になった今。あの頃を振り返っても、幸せだったと思う。
今はちょっと辛くて、悲しくて、泣きそうだけど。それでもあの頃の日々を想えば、大丈夫。
だから、どうかお姉さん……。
「お願いします。もう少しお小遣いを上げてもらえませんか?」
「ダメよ、ゆうくん。あなたって昔から、無駄遣いばっかりなんだからぁ」
「だから、それはね? 貴女に会いたかったから、毎日買い物に行ってたんだって、俺が高校に入る前から言ってるよね?」
「それは知ってるわよ? だって、中学生にプロポーズされるだなんて思ってもみなかったもの、忘れられないわよ。
でも、もう家に帰れば私に会えるんだから、早く帰ってきてくれればいいじゃない?」
「そうですけどね。全くその通りなんですけど、男には付き合いで飲みに行かなきゃならない日もあるですよ。それなのに、一月のお小遣いが千円てのは、少な過ぎやしませんか?」
「ごめんね。でも、来月には貴方もパパになるんだから。できるだけ、この子の為に積み立てておいて上げたいのよ」
「……うん。そうだね、わかったよ」
あの頃を思い出して、少ないお小遣いでやりくりするよ、お姉さん。
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