その後のふたり。

47/53
前へ
/238ページ
次へ
「タビィ、怒ってない?」 とアキラはその夜ベッドの中で私の顔を伺う。 「お父さんと示し合わせて、 パーティー会場でプロポーズしたことですか?」と睨んで見せると、 「だって、梨花ったら、ちっとも本気にしないからさ…」 とちょっとだけ反省している声を出すので、 「結婚するって自分で決めるのが怖かった。 年上だし、いつ飽きられるかとか、西条家の嫁ができるのかとか… 考えると、決心できなかった。 でも、たくさんの人がいる前で、アキラがプロポーズしてくれて、 私を妻にする決心があるんだなって。 この先色々あっても、一緒にいるつもりなんだなって、そう思った。 だから、いいやって。 そう思えた。」と笑うと、 「俺は幸せになるつもりでプロポーズしたんだよ。 これからも楽しいことで溢れてるって 梨花となら大丈夫ってそう思えるんだ。 根拠のない自信。 でも、そういうのを信じても良いだろ。」 と言って、私を深く抱きしめ、 「梨花を愛してる。それだけはわかってるんだ。」と耳元で囁いて、深く唇をつける。 それだけわかってればいいよ。 「アキラを愛してる。」 私もそれだけはわかっている。 何度も繰り返されるくちづけの合間に甘く囁いた。
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1420人が本棚に入れています
本棚に追加