その後のふたり。

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「ただいま。奥さん。」 と真っ赤なバラの花束を出して、 嬉しそうな瞳を見せて、抱きしめて来るアキラの頬に 背伸びをしてキスをする。 バラの花束に顔を近づけ、良い匂いを吸い込んで、 アキラを見上げると、柔らかい微笑みを返してくれる。 あいかわらずの王子っぷりにそっと微笑み、 「うーん。今日も王子に見える。」と笑うと、 「そうでもないよ。」と私を抱き上げ寝室に運んでいく。 「結婚記念日の食事の用意をしたんですけど…」と言ってみるけど、 「結婚記念のベッドが先。」 と私をベッドに寝かせて、深く唇を付ける。 せっかくおめかしして待っていたのに 帰ってきた途端にベッドに押し倒すって、どうよ。 ムードとか一切ないでしょ。 「これからも、ずっと梨花は俺のモノだよ。」と甘く囁き、 サッサと私のワンピースを取り去り、自分も服を脱ぎ捨てる。 「やっぱり、アキラは王子じゃないな。」と私がため息が出るけど、 「愛してるよ梨花。」 とくちづけしながら、何度も言うアキラは ちっとも王子じゃなくても、 ずっと私の愛するオトコには違いない。 ~fin~
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