突然の再会

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 大河との約束の日、待ち合わせの時間の五分前に、大河は「ついたよ」と言った。  鏡で髪の毛を直した私は、大河の待つコンビニへと急いだ。  3年ぶりだ。  私の髪は、肩から胸まで伸びていた。  焦げ茶だった髪色も、随分明るくなった。  そういえば、前よりもほんの少し痩せたっけ。  運転席で携帯をいじる大河を見て、少しだけにやけてしまった。  大河はほとんど変わってない。 「久しぶり」 「久しぶりだね。雨大丈夫だった?」 「うん、大丈夫」  生憎の天気の中、大河は「ドライブしよう」と車を出した。  ワイパーがフロントガラスの雨をなぞるのは好き。 「で、どうしたの?」  少し軽めのトーンの大河の声が好き。 「・・・・・・うん」 「まぁ飲めば?」  そう言われて見た視線の先に、ホルダーに置かれたペットボトルがあった。 「大河が飲み物用意してる!」    そういうとこ、気遣いが足りない人だと思ってたっけ。  大河は横目で私を見ると、「少しは成長したろ?」と笑った。  やっぱり大河は居心地がいい。  なのに今日の私はどこかぎこちない。 「やっぱ茜元気ないね」 「・・・・・・うん」  元気が無かったわけじゃないのに、元気がないという無意味な嘘。  信号が黄色に変わって、赤になった。  大河はブレーキを踏むと、私を見て、少し笑った。 「大丈夫」  そう頭の上に乗せられた、大河の手。  ドキドキしてるのは、私だけだろうか。 「大河、私・・・・・・女の子みたいだよ」 「女の子じゃん」  たった一つの行動。  頭を撫でられただけなのに、ときめくなんてこと、あるのだろうか。  大河を男の人だと意識した日。  私たちの友情は、私によって壊されてしまったけれど、私の胸はわくわくしていた。 ーーEndーー  
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