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仕事にも疲れていた頃、突然、まさかの大河から連絡が来た。
「元気か?」
久しぶりだということを物語る、「元気か?」の一言。
「あんまり」
そう返した私は、ほんの少し、大河に構って欲しかったのだと思う。
隣町という、決して遠くはない距離。
いつでも会おうと思えば会えたのに、自然と会わなくなってしまった私たち。
「どうした?」
「話すと長くなる」
別に、長くなんてならなかった。
特に話すことも無かった。
だけど私、多分ちょっと期待してた。
「会って話す?」
そう、この言葉を。
「うん、話す」
今週の金曜日、会いに行くよ、と大河は言った。
この3年の間に大河は変わったのだろうか。
どうして私に連絡をくれたのだろうか。
私は変わったように見えるのだろうか。
あの頃、寝間着のまま大河に会ってた自分を思い出す。
平気でスッピンを見せてた自分を思い出す。
なのに今の私は、何を着ていこうか、どんな化粧をしようか、精一杯悩んでる。
そんな自分に驚いたし、そんな自分の気持ちを自己分析しようともした。
久しぶりだから、可愛くしていこうとしているのか、それとも私が大河を意識しているのか。
それでも、やっぱり過去を振り返ると、大河を好きになる自分が想像出来なかった。
優しいけど、どこか物足りない。
優しいけど、優しい止まり。
私の知ってる大河はそういう人だったから。
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