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“夜”
それは闇が世界を統べる時間。
人の生活する文明世界であればこそ、また自然界にその身を置くものであったとしても、その闇を払おうと抵抗を試みる者は幾多あっても、その行為は儚く僅かな空間を照らすに留まる。
僅かな光はまた僅かな闇によって掻き消され、抵抗という行為が儚い幻想であることをことさらの様に突き付ける。
逃れようとして果たせず、幾度も闇に屈し、怯えながらも僅かな希望を捨てずに朝の到来を待つ。
その行為を、一体どれだけ繰り返せばよいというのだろうか? それを問うたところで答えることのできるものが、果たして存在するのだろうか?
誰もが明るい朝の到来を願い、焦がれる。それは、生けとし生けるものであれば当然のことだろう。だが、忘れてはいけない。例え誰もが忌避し、嫌悪する存在であったとしても、そこを生活の場としている者たちが存在しているのだということを・・・。
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