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「寝床の準備が整ったのに、お前が帰ってこないからそういう気持ちは無くなったのだと思っていた」
「……パァルを怯えさせたくなかっただけだ。人と竜の身体を変換するのはそれほど高度な技ではない。こんな風にどちらでもない状態になったのは初めてだ」
「身体の具合は悪くないのか? 働きすぎで疲れているなら、力の制御が狂うことだってある」
「特に異常は感じない。原因にも心当たりがあるから心配しなくていい」
そこで話を切り上げようとしたルフェスのベルトをパルは無言で外してしまう。
フロントの留め具を引き下げて、ゆっくりボトムを引き下ろしている間、彼は黙ったままだった。
見られたくないものはこれだったのだろう。先ほどまで下着に締め付けられていた性器はもう角度を変えている。
「はじめてのことは、いつまでも特別な記憶として残る。お前に醜い俺を覚えていて欲しくない」
「人との違いを醜いと定義するなら、俺が竜と似ていない部分も醜いと感じてくれ」
息を飲んだルフェスの反応は素直で、可愛らしい。
唇を重ねて腕を回してもルフェスは拒みはしなかった。
恋を守り、未来に希望をもたらす飾りや道具を持ち込んだ寝室には今日も花が飾られている。
自宅に帰らなくなっても、花が枯れることがないようにルフェスは手配してくれていた。
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