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まさに隕石が落ちる直前、彼は言った。
「これを見ろ。」
一見スマホにも見えるような物体を突きつけていう。
「ワシはな、神様なんじゃ!もうことが済んだからいうがな、地球担当の神様なんじゃ!」
スマホらしきものをいじり、地図の様なものをスワイプしながら更に続ける。
「隕石がな、インドネシア上空を通過しよってな、本来ならスマトラ島沖に落とす予定だったんじゃ、誰も被害がでらんようにな!」
ここに!と地図を指さす。なるほど、本当に地球の地図だ。
「ところがだ!」
今度はスケジュール帳のようなものを見せる。
「予測変換というのはいかん!ミスタッチの元じゃ!」
「おいおい、爺さんまさか!」
「その...まさかじゃ...。」
スケジュール帳のようなものの午前0時の枠には
『巨大隕石 スマイルマート3号店に落ちる』
と書かれている。
「マジかよ...」
どうやらこの爺さんは本当に神様らしい。
「ってことは今日1日ずっとコンビニに来てた変な客は全部...」
「ワシじゃ!」
ありとあらゆるものに姿を変え、神様と悟られないように被害を食い止めようとしていたらしい。
「今日の死亡者リストと数が合わんようになると、色々と面倒が起こるんじゃ!」
バタバタと、こちらへ向かってくる足音が聞こえる。
「君ー!!大丈夫かぁ!!!」
先程までの立てこもり容疑者を捕まえに来た警察官だ。
「やべ!それよりどうすんだよ!」
「大丈夫じゃ!もう手は打ってある。」
神様はスケジュール帳のようなものの次のページをめくる。
「たまたま居合わせた天才物理学生のコンビニ店員、咄嗟の機転で一夜にしてヒーローとなる!」
「へ?」
「じゃあ、ワシはこれで!」
すーっと、神様は姿を消した。
「おいおい!おれはどうするんだよ!!!」
「大丈夫か!君!!」
田んぼで蹲っていたヨシヒコに警察官は手を伸ばし、顔を見るなり脱帽した。
「き、君は!!」
「へ?」
「あの天才物理学生の荒木ヨシヒコくん!?」
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