お客様は神様ですか?

4/11
前へ
/11ページ
次へ
ジャキっと頭に何かヒンヤリとする感触のものを突きつけられた。 「動くな!」 「はいっ!!」 間違いない!...ピストルだ...、本物のピストルだぁ!! 動けば間違いなく死ぬ! 殺される!! 「今、何時だ?」 「じ...11時50分です!!」 「なんだと...?」 ガタガタと小刻みに震え始めた。 ヨシヒコが、ではなく、強盗がである。 「あと10分しかないじゃないかぁ!!!」 慌てふためく強盗は、地団駄を踏むようにその場でジタバタと足を踏み鳴らした。 (なんなんだよ!!) 最悪の1日だ! 昼間に恋人の美奈子に突然の別れを切り出され、傷心したままバイトにくれば変な客に絡まれ、挙句に強盗だと!ふざけるな! なんて日だ!! なんで俺がこんな目に遭わなきゃなんねぇんだよ! でも死ぬのは嫌だ!死ぬのは...!それだけは...! 何とかして脱出する手立ては無いものかと、ヨシヒコがレジを開いた。 (ここはやはり金しかない!) 「ピロリローン♪ ピロリローン♪」 (なんてこった!このタイミングで!) 会社帰り風の女性が二人入店してきた。 女性たちはレジ前の怪しい男と、ヨシヒコが今置かれている状況に気づいていない。 「おい!」 強盗がボストンバッグを突き出した。 「えっ?かっ...金なら今すぐ!」     
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加