お客様は神様ですか?

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「さっそと逃げろ!出来るだけ遠くへだ!!!」 ヨシヒコの手がふと止まる。 ヘルメットの顎からさっきみたような気がする白い髭がちょろりとはみ出している。 「ウソだろ!?」 ヨシヒコの声に強盗が振り返った瞬間、彼は果敢にそのヘルメットを剥ぎ取った。 「爺さん!!」 「はっ!しまったー!!!」 ヨシヒコの予感は見事に的中。 あろう事か怪力強盗の正体はつい先程一悶着起こしたばかりの爺さんだった。 「おいジジイ!てめぇ!!」 途端に闘争意欲が湧いたヨシヒコは床に転がっていたピストルを蹴り飛ばし、爺さんに掴みかかった。 「待て、頼む!頼むからワシの言うことを聞いてくれ!!」 顔の目の前で両手を合わせて爺さんは必死で懇願した。 「お客様は神様なんじゃ!そうじゃろう??頼むから!聞いてくれたらお前さんの望みを何でも叶えるから!!!」 「あーもう!わかったよ!」 土下座でも始めそうな爺さんについにヨシヒコの心が折れた。 「で、どうすんだよ!?」 「あと3分でいい!店に誰も入れるな!」 爺さんは先ほどヨシヒコが蹴り飛ばしたピストルを握らせた。握ってみると、それはアルミでできたオモチャのピストルだった。 「頼むから誰も入れるな!」     
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