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「え~、次のニュースです。」
ヨシヒコは自分の部屋でコーヒーを飲みながら朝のワイドショーを見ていた。
「現場の本田さーん!」
画面が切り替わり、田舎の風景と共に女性アナウンサーが映った。
「はい!現場の本田です!えー、こちらは先ほど午前0時ちょうど、隕石が落下したスマイルマート3号店前です。普段は農村地帯ということもあり、とても閑静なこの場所ですが、今はたくさんの人でごった返しています。」
カメラはスマイルマートを映している。
およそ3mに及ぶ巨大隕石の直撃を受けて、店は粉々に崩れ、keep outのテープを取り囲むように見物人や野次馬たちが群がっている。
「ふふ。」
ヨシヒコは満足そうにそれを見ながらベッドに腰掛けた。
「こちらが当時咄嗟の機転でお客様を守った従業員の荒木ヨシヒコさんです。」
デカデカと液晶にヨシヒコが映る。
右下の字幕には、『咄嗟の判断!隕石から皆を守ったヒーロー』という文字が踊っている。
「え~、荒木さんはこの隕石の存在を知っていたんですね?」
「はい。本来ならスマトラ島沖に落ちるとされていたんですが.....」
ニンマリとほくそ笑んで、昨夜のことを思い出す。
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